●過活動膀胱、切迫性尿失禁
2002年に定義されたまだ新しい名称で、
突然強い尿意を感じ、我慢できない「尿意切迫感」が特徴です。
トイレが間に合わず、尿漏れを起こすこともあります。
過活動膀胱は、女性にも男性にも起こりますが、女性は尿漏れを
起こしやすい傾向があるようです。
◆原因
脳と膀胱の間の情報伝達が上手くいかないために、膀胱が勝手に収縮して
尿意が起こることが主な原因です。
◆思い当たることありませんか?
・テレビが面白いところでも急に尿意を覚えると、我慢できない。
・水に触れると急にトイレに行きたくなって、我慢できなくなる。
・尿意を感じてトイレへ急いでも、たどり着く前に漏れてしまう。
・行ったばっかりで又トイレに行きたくなり、下着を下すのも
間に合わない。
過活動膀胱がある人の膀胱は知覚が過敏になっていて、少量の尿が溜ったり、
チョットした刺激に過敏に反応して、排尿の意志とは関係なく勝手に
膀胱が収縮してしまいます。
過活動膀胱かどうかは症状を詳しく確認すれば分かります。
自覚症状で決まるので特別な検査を行わなくて下記の
問診で具体的な症状が確認できれば、過活動膀胱であるかどうか分かります。
只「膀胱炎」等に伴って頻尿や尿失禁がある場合があるため通常は
尿検査を行います。
「質問3の尿意切迫感が2点以上で、合計点が3点以上」の場合過活動膀胱と
診断されます。
重症度は合計点が5点以下が軽症、6~11点が中等症、12点以上が重症とされます。
治し方
①過活動膀胱の治療で基本となるのは「行動療法です」
●水分摂取量の見直し
一般に1日に摂った水分が体重の2.5%以上の場合は、水分の摂りすぎの傾向があります。
例えば体重が60Kgの人なら、1日に15ml以上の水分摂取は多いと考えられます。
●膀胱訓練
行動療法の中心になるのが、膀胱訓練です。
過活動膀胱の場合、尿意切迫感があり、トイレを我慢できないと思っても、
実際には膀胱が一杯になってるわけではありません。
しかも、尿漏れが心配で、わずかな尿意にも反応して早めにトイレに行くのが
習慣になりがちです。
そこで、トイレに行きたくなっても15~30分我慢して、排尿の間隔をあけるようにします。
元々、私たちの排尿の仕組みは、最初に尿意を脳に伝えてから暫く我慢できるように
なっています。
トイレに行きたくなっても、焦らず我慢していると、収縮していた膀胱も緊張が緩み
尿意切迫感も落ち着いてきます。
最初は少ししか我慢できなくても、徐々に時間を伸ばすようにして排尿間隔を
広げる訓練をします。
●骨盤底筋体操
「腹圧性尿失禁」の治療としてお伝えしましたが、骨盤底筋群中でも
尿道括約筋を強くすることは、過活動膀胱や切迫性尿失禁にも
役だちます。
膀胱訓練と併せて行うと一層の効果を得られます。
②薬物療法
過活動膀胱や切迫尿失禁に対する医療機関での治療法は薬物療法では
「抗コリン薬」が使われます。
行動療法の効果が現れるまでの対症療法として症状を抑えます。
過敏になっている膀胱が勝手に収縮するのを防ぎます。